ここでは,百ます計算などで有名な陰山英男さんの実践を中心に,関連する情報を提供します.
陰山英男さんの書かれた本を1冊でも読めば分かりますが,「百ます計算をやれば子供が賢くなる」なんてものではないのです.そんな虚言は一切書かれていません.子供の習熟度に応じて,百ます計算の前に取り組む10ます計算とかもありますし,小学校一年生から辞書を引いたり,熟語ノートを作ったりと,それぞれの教科のそれぞれの段階で,どのような取り組みをすべきかが現在でも試行錯誤されているのです.特に,子供に学力をつけさせるためには,家庭での取り組みが大切だということを再三繰り返しておられます.決して誤解しないで欲しいのですが,何が何でも家庭で百ます計算しましょうということではないのです.朝ご飯をしっかり食べて,テレビを見る時間を少なくして,しっかり寝る.挨拶もきちんとする.そういう良い生活習慣を身に付けさせることが何よりも重要なのです.
基礎学力に徹底的に拘る教育方法に対しては,管理教育だといった批判もありますが,私は,基礎のないところからは何も生まれないと思います.
土堂小学校校長である陰山英男さんの著作の紹介,読む力・書く力・計算力を育てるための方法などが記載されています.また,掲示板は父兄の情報交換の場になっています.
本当の学力をつける本―学校でできること家庭でできること 著者: 陰山英男 有名大学合格者が続出したことで注目を集めた山あいの公立小学校が取り組んできた内容と,その実践を通して陰山英男さんが感じられたこと,考えられたことを紹介している本です. この小学校で素晴らしい成果を上げた取り組みというのは,徹底的に「読み書き計算」にこだわることです.基本を重視し,基本をしっかりと身に付けさせること,ただそれだけです.こんな基本的なことが注目されてしまうぐらい,昨今の義務教育が置かれている状況が酷いということなのでしょう. 本書では,具体的な勉強方法・教育方法を示すと共に,家庭でできること,社会でできることを紹介しています.小学校に通っている,またはこれから通うぐらいのお子さんがいる方は,是非読んで下さい. |
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奇跡の学力 土堂小メソッド 著者: 陰山英男 「新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究校」に指定された土堂小学校校長である陰山英男さんが,そこでの取り組みと成果についてまとめられたものです.国語と算数に関連する話題が中心で,学力向上に向けて学校でできること,家庭でできることが書かれています.一年生から辞書を引かせる「辞書引き」,百ます計算の前に取り組む「プレ百ます」,作文が書けるようになる「熟語ノート」など家庭でも取り組める学習のヒントが満載です. |
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陰山メソッド家族の学習奮闘記―30家族の成功例 著者: 陰山英男 陰山英男さんが解説されているウェブサイト「陰山学級物語」の掲示板に集う家族による家庭学習の実践記です.学年別,課題別の実践方法と教材に関する情報がまとめられています.陰山英男さんが実践されている内容に興味があり,実際に家庭で取り組んでみたいと考えておられる方には大変参考になるでしょう. |
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陰山英男の「校長日記」 土堂小学校校長一年目の全記録 著者: 陰山英男 全国が注視する中で,陰山英男さんが新しい学校づくりに取り組んだ校長就任1年目の記録です.現在の教育現場がどのようなものか,どのような取り組みがなされているのか,ということを知り,教育の在り方について考えるきっかけになる本だと思います.応援したくなりますよね. |
徹底反復「計算プリント」<小学校全学年> 著者: 陰山英男 |
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徹底反復「漢字プリント」<小学校全学年> 著者: 陰山英男 |
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徹底反復「社会プリント」小学校3〜6年 著者: 陰山英男 |
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陰山メソッド 徹底反復「百ます計算」 著者: 陰山英男 |
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陰山メソッド 徹底反復「書き順プリント」小学校1・2・3年 著者: 陰山英男 |
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陰山メソッド 徹底反復「書き順プリント」小学校4・5・6年 著者: 陰山英男 |
「読み書き計算」など学力の基礎を鍛え,子供達に自信と誇りとやる気を取り戻させる実践の創造と普及を主な目的とする研究会のウェブサイトです.研究会メンバーの実践が紹介されています.
今や教育界のキーパーソンとして認知されるにいたった陰山英男さんが書かれた本を読んでの感想を記録しておきます.
もう10年以上も「ゆとりが大事」とか「個性の尊重」とか御託を並べるだけ並べておきながら,明確な結果は基礎学力の低下(というか崩壊の兆し)だけという昨今において,懲りずに授業内容を削減しようとしてきた偉い方々には愛想も尽きるというものです.社会がすさみ,呆れた親が増える中で,小中学校の先生は本当に大変だろうと思います.
陰山英男さんの著作を読むまでは,基礎計算の徹底的な反復練習で優れた成果を上げ,ゆとり教育に対抗する先生というぐらいの認識しかありませんでした.しかし,本を読んでみて,決してそれだけではないということが良くわかりました.まず,学校だけでなく,家庭ぐるみ,社会ぐるみでの教育や躾の必要性を強く説かれています.特に,学力を付けるためには正しい家庭生活が大切であることを,自らの調査結果などを交えながら指摘されています.具体的には,早寝早起き,朝ご飯を食べる,テレビを1時間以上見ない,一家団欒をする,などです.こういうことを家庭できっちりとしないで,学校にばかり文句を言う親は馬鹿としか言いようがありません.これまでからも,家庭や社会の役割がいかに大切であるかを指摘する人は珍しくありません.問題は実践を伴うか否かということなのでしょう.
陰山英男さんは,教育をする構えの基本として,「自分の心の中に,子供に教えたいものがいつもあるということ」を挙げておられます.これは凄く大切なことだと思います.
あと,読んでいて面白いなと思ったものに,「和俗童子訓」からの引用があります.これは江戸時代の寺子屋の指導書なのだそうですが,その中に,「凡そ小児の教えははやくすべし.しかるに凡俗の知なき人は,小児をはやくおしゆれば,気くじけてあしく,只,其心にまかせてをくべし,後に知恵出くれば,ひとりよくなるといふ.是,必ずおろかなる人のいふ事なり.此言葉大なる妨げなり.」と書いてあるそうです.要するに,「馬鹿な大人は子供の好きにさせておいたら子供が勝手に賢くなると言うが,そんなわけはない.子供には早くからきちんと教育を与えなければいけない.」ということです.江戸時代の教育観に感心させられますが,このようなことが明治維新以降の近代化の土台となったのでしょう.それに比べて,今の日本は凋落の坂道を転げ落ちるかのようにも見えます.個性の尊重とか戯言をほざいて,自分の責任を放棄し,子供を甘やかせることしかできない大人は,この教えを肝に銘じるべきでしょう.