私も今では親という立場になり,右往左往しながらも現実に子育てをしています.しかし,子育てに対しては,一種の恐怖感をずっと持ってきました.今でもそうです.その要因は,突き詰めると2つあるように思います.1つめは,『子供が生まれてきたことを良かったと思えるような社会になるか』ということ.2つめは,『まともに育てられるか』ということ.要するに,社会と自分に自信がないのです.
子育てというと,とかく知育が偏重されるようです.しかし,今までの日本では,これは当然のことだとも思います.というのは,学歴社会という現実があるからです.こういう社会環境では,高学歴な人もそうでない人も,子供には高い学歴を経させたいと思うのは当然でしょう.
子育てに恐怖感があると書きましたが,お受験に熱を上げる親達が気にする意味での知育という点では,恐怖を感じたことはありません.もちろん,賢く育てる自信があるわけではありません.それでも気楽に構えているのは,恐らく,自分が受験で苦労した経験がないから実感が湧かないためだろうと思います.
何よりも恐れを抱いているのは,『まともに育てられるか』ということです.精神的な面で,立派な人間に育てられるかということです.こういう恐怖感を抱いてしまうのは,自分が立派でないことが原因なのだと思います.つまり,立派でない親が立派な子供を育てるなんて無理だという,罪の意識みたいなものが,自分の心のどこかにあるのだと思います.
『子供は親の鏡』という言葉があります.幼い頃からこの言葉を聞いて育ってきたため,自分の心のどこか深い部分に,この言葉はしっかりと根を下ろしているように感じています.だから,自分の子供の中に自分自身の姿を見るのが怖いのでしょう.
ここに,1954年に書かれた詩を記しておきます.その後,著者による改編が加えられたため,最初に書かれたものとは若干異なっていますが,子供が育つ基本原理が書かれています.
Children Learn What They Live
By Dorothy Law Nolte, Ph.D.If children live with criticism, they learn to condemn.
If children live with hostility, they learn to fight.
If children live with fear, they learn to be apprehensive.
If children live with pity, they learn to feel sorry for themselves.
If children live with ridicule, they learn to feel shy.
If children live with jealousy, they learn to feel envy.
If children live with shame, they learn to feel guilty.
If children live with encouragement, they learn confidence.
If children live with tolerance, they learn patience.
If children live with praise, they learn appreciation.
If children live with acceptance, they learn to love.
If children live with approval, they learn to like themselves.
If children live with recognition, they learn it is good to have a goal.
If children live with sharing, they learn generosity.
If children live with honesty, they learn truthfulness.
If children live with fairness, they learn justice.
If children live with kindness and consideration, they learn respect.
If children live with security, they learn to have faith in themselves and in those about them.
If children live with friendliness, they learn the world is a nice place in which to live.
以下は,上記"Children Learn What They Live"の和訳です.
けなされて育つと,子どもは,人をけなすようになる
とげとげした家庭で育つと,子どもは,乱暴になる
不安な気持ちで育てると,子どもも不安になる
「かわいそうな子だ」と言って育てると,子どもは,みじめな気持ちになる
子どもを馬鹿にすると,引っ込みじあんな子になる
親が他人をうらやんでばかりいると,子どもも人をうらやむようになる
叱りつけてばかりいると,子どもは,「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう
励ましてあげれば,子どもは自信を持つようになる
広い心で接すれば,子どもは,キレる子にはならない
誉めてあげれば,子どもは,明るい子に育つ
愛してあげれば,子どもは,人を愛することを学ぶ
認めてあげれば,子どもは,自分が好きになる
見つめてあげれば,子どもは,頑張りやになる
分かち合うことを教えれば,子どもは,思いやりを学ぶ
親が正直であれば,子どもは,正直であることの大切さを知る
子どもに公平であれば,子どもは,正義感のある子に育つ
やさしく思いやりをもって育てれば,子どもは,やさしい子に育つ
守ってあげれば,子どもは,強い子に育つ
和気あいあいとした家庭で育てば, 子どもは,この世の中はいいところだと思えるようになる
子どもが育つ魔法の言葉 著者: ドロシー・ロー・ノルト,レイチャル・ハリス 世界中で愛読され,日本だけでも120万部を超えるベストセラーとなった育児のバイブルです. 子は親の鏡と言われます.でも,親の態度が子供に大きな影響を与えることは理解できても,具体的に,どのような態度を取れば良いのか,どのように声をかければ良いのか,となると,これは非常に難しい問題です.子供への接し方に悩んでいる親も多いのではないでしょうか. 本書は,身近で具体的な例を使いながら,様々な状況で,親が取るべき態度を明確に示しています.親となるときに一読する十分な価値がある本です.心からお勧めできます. |
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子どもが育つ魔法の言葉 for the Heart 著者: ドロシー・ロー・ノルト 「子どもが育つ魔法の言葉」の続編です. |