子供の誕生に際して,非常に楽しくもあり,また非常に頭を悩ます事柄と言えば,名付けですね.世の中には実に数多くの名前がありますが,皆さんは,どのように名付けましたか.ここでは,我が家での命名方法を紹介しましょう.「へ〜,そんな名付け方もあるのね.」と思っていただければ幸いです.
名前なんて星の数ほどあるわけですが,我が家での名付けにおいて,最も重視するのは「音」です.親がどう呼びたいかですね.
この段階での決定権は,完全に彼女が握っています.というのも,私は呼び方にあまり執着しないというか,こだわりがないので,「それはダメだ!」って音以外なら基本的には何でも良くて,名前を絞り込めないからです.その点,彼女は,「○○君」とか「○○ちゃん」と名前を省略して呼ぶときのことまで考えて,音を選んでくれます.さらに,将来,外国(英語圏)で活躍することも想定して,アルファベットで書いたり発音したりしたときに,おかしくないかということまで検討してくれます.
長男と長女の名付け実績では,この段階で,音の候補は2〜3個程度になりました.
音が決まったら,いよいよ漢字を選びます.この漢字選びが私の担当です.もちろん,最終的に決定するわけではなく,少数の候補を選び出すことが私の役目です.
まず,我が家での名付けに関する最低限のルールを示します.
まあ,どれも普通のルールですね.でも,市販の名付け本なんかを見ていると,ビックリするような名前もあります.個性的で素晴らしいなと思うものもありますが,読み書きするのが難しい名前では何かと不便でしょうから,我が家では普通の文字を使うことにしました.
それでも,利用できる漢字はたくさんありますから,どの漢字を使ったら良いかは悩みます.そこで,姓名判断を利用します.
市販の名付け本なんかを見ると,内容はともかく,姓名判断について書いてあるものが多いです.やはり,気にする人が多いのでしょう.うちもそうです.ただ,気にするとは言っても,気にする程度は人それぞれのはずで,徹底的に姓名判断にこだわる人もいれば,チラッと見てみるだけの人もいるでしょう.もちろん,全く気にしない人もいるでしょうね.
姓名判断について少し調べてみると,名付け本に書かれているとおり,姓名判断には様々な流派があって,字の画数の数え方も違えば,その解釈も違うという有様であることに気付きます.インターネット上の無料姓名判断サイトを利用しても,返ってくる結果はバラバラです.「どれが正しいんじゃ!」と怒りたくなりますが,所詮は占いですから,仕方ありません.
このような現状をふまえて,「姓名判断で名付けするなんて馬鹿げている.」と言い切る人達もいます.非常に合理的で,私も本来はこういうタイプです.また,多くの名付け本には,「様々な流派があるので,どれか1つに決めてしまいましょう.」と書かれています.
でも,いずれも親の都合でしかないとも言えそうです.我が家には「子供の立場で考える」というルールがありますから,ちょっと違う視点で名付けをします.
ここで,姓名判断を考慮する理由について,改めて考えておきましょう.
全く気にならないなら,姓名判断なんて使う必要はありません.姓名判断に興味がある人は,上記のいずれかに該当するでしょう.もし,姓名判断で人生が決まると信じているなら,専門家に相談するべきでしょう.間違っても,無料診断なんかで満足していてはいけません.子供の人生がかかっているのですから,多少の出費なんて痛くも痒くもないでしょう.でも,多くの人は,「信じてはいないが,気になる」でしょうね.結婚式を「大安」にするか「仏滅」にするかみたいなものです.信じていないなら「仏滅」で安く済ませれば良いのに,とりあえず,大安や友引を選ぶのと同じようなものですね.
私は,姓名判断を信じていません.もちろん全く気にならないわけではありませんし,占いなど非科学的とされるものを否定もしません.でも,それで人生が決まるとは思っていません.そんな私が姓名判断を利用するのは,「子供の立場で考える」というルールの延長線上においてです.
私の考え方を示します.
1番目は自然な考え方です.敢えて悪い結果を望む必要なんてありません.信じていようが,信じていまいが,利用できるものは,利用できる範囲で利用すれば良いのです.我が家の場合,名付けにおいて,「音」が一番大切な要素です.ですから,選んだ音を変えてまで,姓名判断の結果を良くしたいとは思いません.
我々が姓名判断を気にするように,将来,子供も姓名判断を気にするかもしれません.そのとき,きっと,自分の名前を姓名判断してみるでしょう.占いなどを信じない子供だとしても,よほどひねくれていない限りは,悪い結果より良い結果の方が嬉しいに違いありません.もしかすると,「おいおい,姓名判断の結果がこんなに悪い名前を付けるなよ!」なんてこともあるかもしれません.
以上をふまえて,姓名判断を信じるか信じないかに関係なく,自分が妥協できる範囲で,その結果を名付けに利用するのは合理的と言えるでしょう.ところが,問題は3番目です.特に,子供が姓名判断をする未来のことを考えると,子供がどの流派の姓名判断を利用するかなんて全くわかりません.しかし,これに対応しないわけにもいきません.
そこで,いくつかの流派を採用して,複数の名前候補すべてに対して,採用した流派すべてで姓名判断を行い,それぞれの名前について,すべての流派の中で最悪の結果を探し,その最悪の結果が最も良い名前を採用します.これは,いわゆるミニマックス問題です.
ん? 難しいですね.分かりやすく説明しましょう.
例えば,海,陸,翔という3つの名前候補があるとします.3つの流派を採用して,姓名判断を実施した結果が下表のようになったとしましょう.
海 | 陸 | 翔 | |
流派1 | 大吉 | 大吉 | 大吉 |
流派2 | 凶 | 大吉 | 吉 |
流派3 | 吉 | 凶 | 吉 |
判定 | 凶 | 凶 | 吉 |
海君の場合,最悪の結果となったのは流派2の凶です.陸君の場合は流派3の凶が最悪です.一方,翔君の場合は流派2と3が同じ結果で吉です.これらの結果から,最悪(MAX)の場合に最良(MIN)の結果が得られる名前は,翔君だとわかります.ミニマックス問題というのは,こういう問題をいいます.
もちろん,実際は,これほど単純ではなく,五格,陰陽,五行すべてを考慮して判定します.
「最悪の場合でも最良に」という方針ではなく,「平均点を高く」という方針もあるでしょう.しかし,私の場合,将来子供が姓名判断をしたときに,どのような流派を採用したとしても,悪い結果にはならないことを重視するため,上記のような選択方法が適していることになります.
先に決めた音から,何か漢字を考えて,その姓名判断をしてみるという方法では,私がしたいことはできません.ミニマックス問題を解くためには,あらゆる漢字の組み合わせを候補として,悪い結果となるものを振り落としていかなければなりません.これを手作業でやっていたら,子供が生まれるまでに名前を決められないので,シェアウェアを利用しました.利用したのは「命名倶楽部」というソフトで,制限はありますが試用させてもらえます.
このソフトを利用して,希望する音になる全ての漢字の組み合わせを発生させ,一気に姓名判断を行います.こんなことができる「命名倶楽部」は優れものです.作者に感謝.ただし,希望する音になる漢字ではあっても,見た目が気に入らないとか,悪い意味を持つとかいう漢字は除外しておきます.当然,漢和辞典などを駆使して語源などもきちんと調べます.
私の実績では,この段階で発生させた名前は100通り以下でした.次に,鑑定結果が良いものだけを取り出します.この段階で,20通りほどには絞り込まれました.
ようやく,第一段階終了です.名前候補が20通りほどに絞り込まれたら,後は力業でなんとかなります.そこで,インターネット上の複数の無料姓名判断サイトを利用して,すべての名前候補の姓名判断を行います.私が利用したのは,「山本式姓名判断」や「トライユニティー・占いの扉」などです.素人の私には,これらが良いのかどうか判断できませんので,自分で良いサイトを探して下さい.ただ,プログラミング上の問題なのか,無茶苦茶な結果を返してくるサイトもありますので,まともなサイトかどうかはチェックしておいた方がよいと思います.
最終的に,候補は数個に絞り込まれます.後は,見た目の好き嫌いなんかで決めれば良いだけです.我が家の場合は,見た目ももちろんですが,漢字の意味を重視して選びました.長男の名付けについて,最終的に選んだ名前を「命名倶楽部」で鑑定した結果を下図に示しておきます.五格が吉数で,陰陽・五行も悪くはないというのが,絞り込みの条件でした.しかし実際には,漢字の意味をかなり重視して選びました.いくら姓名判断の結果が良くても,何の意味も見出せないような名前では嫌ですし,「こんな想いを込めて名付けたんだよ」と子供に説明できるような名前にしたかったからです.