絞った牛乳を遠くの人々にも届けるため,牛乳を殺菌処理するよう,法律で定められています.市販されている牛乳の多くは,超高温滅菌法によって一度120℃以上まで加熱されます.このような高温処理によって,素早く菌を殺すことができ,牛乳の生産を合理化できるのです.
ところが,高温処理は牛乳の性質も変えてしまいます.まず,消化されやすい良質のカルシウムが壊滅的な破壊(20〜95%以上)を受けます.乳酸菌は皆殺しです.良質なタンパク質の中には80%以上が失われてしまうものもあります.
牛乳を飲むと下痢や腹痛をおこす人もいます.これを乳糖不耐症と言いますが,牛乳に含まれる乳糖という成分を分解する酵素が不足していると,この症状が現れます.
元々牛乳を飲む習慣のなかった日本人は,欧米人に比べて,この酵素の働きが約20%程度しかありません.これでは牛乳を受け付けなくても仕方ないですね.牛乳は日本人に適した食品ではないのです.無理して飲む必要はありませんし,無理矢理飲ませる必要もありません.どうしても飲みたければ,低温殺菌のものにしてはいかがでしょう.
思っているほど良くはないというのであれば,それほど深刻に悩む必要はありません.しかし,良くないどころか,実は悪かったとなれば,話は別です.学校でも家庭でも,いっぱい牛乳を飲んでカルシウムたっぷりの食生活をするようになった日本人が,骨粗鬆症や骨折に悩まされているのは,なぜでしょうか.まだ飲み足りないのでしょうか.そんなはずないですよね.常識が間違っているのです.
「カルシウムを取らなければならない」という意識が強い真面目な保護者ほど,子供に牛乳を与えようと努力する傾向があります.もちろん個人差があるのですが,牛乳をはじめとする乳製品はアレルギーの原因になることもあります.例えば,幼い子供の肌の調子が悪いという方は,一時的に牛乳を与えるのを止めてみると効果があるかもしれません.
夜泣き,泣き出すと止まらない,睡眠が浅い,鼻水や咳が止まらない,風邪を引きやすい,便秘気味,キーキーと叫ぶ,気が短い,人を叩いたり噛んだりする,大人しすぎる.
これらの症状は,乳製品が原因となって生じることがあります.牛と人とは違うので,牛乳が体に合わないことがあります.そうすると,子供の体は上記のようなサインを送って,親に知らせてくれるのです.
問題は,そのサインを正しく理解できない親が多いことです.牛乳は体に良いと信じてしまっているために,それが原因だとは夢にも思わないわけです.もし我が子に上述のような症状が見られたら,牛乳および乳製品を与えるのを止めてみましょう.1ヶ月で効果が現れなかったら,安心して牛乳や乳製品を与えればよいのです.
もう肉も卵も牛乳もいらない! 著者: エリック・マーカス 単に健康という観点からだけでなく,食料・環境問題も視野に入れて,動物性食品を食べるのはやめましょうというのが主張です.完全な菜食生活まで要求する必要はないですが,多くの人は明らかに動物性食品を過剰摂取していますから,この本を読んで自分の食生活を見直してみると良いと思います. 私も菜食・粗食を心掛けていますが,心身共に快適ですよ. |
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牛乳には危険がいっぱい? 著者: フランク・オスキー 優れた健康食品と考えられている牛乳が,実は,健康上の様々な問題を引き起こす可能性があると,牛乳の危険性を指摘している本です. ただ,何事にも良い点と悪い点があるわけですから,悪い方だけを見る必要はないと思います.もちろん,良い方しか見ないのは大問題ですし,牛乳に関しては良い点ばかりを吹き込まれてきた人が多いでしょうから,この本を読んで,牛乳の是非について自分で判断されることをお勧めします. |
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牛乳の飲みすぎに注意しましょう!―牛乳神話完全崩壊〈2004年版〉 著者: 外山利通 タイトルの通りの内容です. ただ,何事にも良い点と悪い点があるわけですから,一方的な内容を無闇に信じる必要はありません.大切なのは,努力して知識を身に付けて,自分自身で判断できるようになることだと思います. |
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日本の牛乳はなぜまずいのか 著者: 平沢正夫 ほとんどの日本の牛乳は,本来保存用であるはずの超高温滅菌乳です.これは生産者の都合で,牛乳の製造を合理化するために,そうなっているわけです. 今の世の中,細かいことを気にすると何も食べられなくなってしまいます.でも,事実を知って受け入れるのと,無知なまま闇雲に受け入れるのとでは,全然違います.正しい知識を身に付けて,自分で良いものを選ぶ努力をしなければいけません.そういう消費者が増えれば,安全で美味しい食品がもっと増えると思います. |